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エコロジーエクスプレストレンドウォッチ
2012年01月31日 

企業の持続可能性評価・格付けの動向〜ESGからカーボン管理能力へ〜

(NTTデータ経営研究所社会・環境戦略コンサルティング本部 シニアスペシャリスト/大塚俊和)



英国のシンクタンク“SustainAbility”が2010年10月に公表した、“Rate the Rater”では、世界における企業の持続可能性を評価・格付けする108の取り組みの中から、評価手法が確立されている16の取り組みを選定し、評価・格付けの信頼性について約1,000人の企業担当者や専門家へ実施したアンケート調査結果を掲載している。(下表参照)



“Rate the Rater”は、「企業を評価する側を、さらに評価する」というユニークな試みとして興味深い。
アンケート調査結果をみると、4つの選択肢の中で、「信頼度が高い」との回答の占める割合が最も高かったのは、Dow Jones Sustainability Index (48%) とCarbon Disclosure Project Leadership Index (41%) のみであり、「信頼度が高い」との回答比率 (34%) が3番目に高かったFTSE4Good Index Seriesであっても、「取り組み自体を知らない」との回答比率 (41%)の方が高かったとの結果を報告している。



DJSI(1999年調査開始)は米国のウォールストリートジャーナル、FTSE4Good(2001年調査開始)は英国のフィナンシャル・タイムズが設立母体となっているのに対して、CDP(2003年調査開始)は、英国の小さなNGOの活動が出発点であり、後発のCDPの台頭がいかに目覚ましいものであるかが、“Rate the Rater”の調査結果から見てとれる。CDPの台頭の要因はどこにあるのであろうか。注目すべきは、選定された16の評価・格付けの中において、CDPだけが企業のカーボン管理能力のみを評価の対象としていることである。他の評価・格付けは、主にE(Environmental), S(Social), G(Governance)を評価対象としており、カーボン管理能力はE(Environmental)の中の1項目に位置付けられているに過ぎない。

企業のカーボン管理能力は、なぜそれほどまでに注目されるのであろうか。
世界の時価総額上位500社を調査対象とするCDP Global 500レポート2011において、CDPの評価において高スコアを獲得した先進企業の収益率が過去5年間において、調査対象となった企業の平均値の約2倍であったとの調査結果を公表した。これは、カーボン管理能力が高い企業は、高い財務パフォーマンスを兼ね備えているという相関を示唆する、これまでに例を見ない注目すべき調査結果である。ESGという広い範囲では、評価・格付けと財務パフォーマンスの相関を示すことはこれまで困難であったが、カーボンという1項目を切り離して評価すると、財務パフォーマンスとの相関が明確にできるのではないかという推測と期待が投資家にはある。

温室効果ガス排出規制の進む欧州では、企業の温室効果ガス排出量は、一種の簿外債務であるとの認識が広まっており、企業に対して将来の財務パフォーマンス情報と同時に、温室効果ガス排出量などのカーボンに関するリスク管理についての情報を求める動きが活発化している。事業を拡大して収益を上げても、それに伴い温室効果ガス排出量も増加し、総量規制値を上回ることで排出権などの購入負担が必要となることが想定されるためである。現状において、企業の将来のカーボン管理能力を定量的に評価する取り組みはCDPのみであるため、CDPの評価に多くの投資家の目が集まっているのである。



一方、FTSEは、台頭するCDPと強調する方向を示している。これまでFTSEにおける企業の持続可能性評価の柱であったFTSE4Goodとは別に、CDPの評価スコアを活用して企業のカーボン管理能力を評価する “FTSE CDP Carbon Strategy Index”を新たに発表した。2010年には、英国企業約1,000社を対象に評価を行い、上位40社の選定を行っている。(下表は、上位10社リストおよび各社のCDP 2011の評価スコア)



“FTSE CDP Carbon Strategy Index”は、CDPのスコアのみを評価に活用するのではないため、CDPのスコアとは順位は一致していないが、CDLIにおいて70ポイント、CPLIにおいてBランクが選定の最低の目安となっているようである。
FTSEは、日本企業を調査対象とした、“FTSE CDP Carbon Strategy Japan Index”の選定を2012年に行うことを表明している。既存のFTSE4Goodでは、日本企業約180社が先進企業として選定されているが、こうした企業が、“FTSE CDP Carbon Strategy Japan Index”においても先進企業として選定されるためには、CDPにおいて高い評価スコアを獲得することが必須条件となる。
企業のカーボン管理能力を評価するCDPは、環境・CSRの領域を超えIRに関わる指標として急速にその地位を高めている。日本企業はこの流れに乗り遅れてはならない。